解説記事 ― 動画を読み物で定着させる
各動画に対応した読み物です。図で要点を掴み、証・方剤の考え方を再現できる形で持ち帰れます。動画→記事→症例トレーニングの順で回すと定着します。
基礎編
同じ月経困難症でも、ある患者にはよく効き、別の患者には響かない。その差を「体質」で片づけず、再現できる形でとらえ直すのが漢方の「証」です。
月経・妊娠・産褥・更年期。婦人科が扱う訴えの多くは「血」の動態そのものです。瘀血と血虚――滞りか、不足か――を見分けることが、婦人科漢方の出発点になります。
「冷えると悪化して、温めると楽になります」。婦人科外来で毎日聞くこの一言が、漢方では治療の方向を決めます。寒熱と虚実――まず患者を大きく置く、二本の物差しの回です。
月経前になると些細なことで怒ってしまう、更年期に入ってのぼせと動悸が止まらない、喉に何かがつかえる――。検査では捉えにくいこれらの訴えを、漢方は「気」の失調として一つの軸で読みます。
証は頭の中の理屈だけでは決まりません。見て、聴いて、問い、触れる。四診という古典的な四つの入り口から、患者の座標を確かめていきます。婦人科・プライマリ・ケアの問診で何を拾うかを整理する回です。
問診で立てた仮説を、最後に手で確かめる。漢方の腹診は、とりわけ婦人科で決め手になります。腹力で虚実を、圧痛点で瘀血を読む ― お腹が座標を裏づける回です。
舌を診て、脈に触れる。四診の残る二つは、慣れが要る一方で、はじめの一歩は誰でも踏み出せます。まず何を見て、何に触れるか。欲張らず、瘀血のサインを一つ拾えるところから始める回です。
「漢方は自然だから副作用がない」——これは誤解です。とくに婦人科では、目の前の患者に妊娠の可能性が常に背景にあります。妊娠期・授乳期の注意を最初に、次いで甘草・附子・麻黄・地黄、そしてエキス剤の使い方を整理する回です。
実践編
同じ日の外来に、月経痛の相談が3人。全員に同じNSAIDsでよいのか? 主訴は入口にすぎません。その先の証で、温める手・巡らせる手・攣急を止める頓用へと分かれていきます。
「生理が不順で」と来た患者を、いきなり漢方で整えてよいのか。まず妊娠と内分泌・器質の検索が先です。そのうえで、血虚・瘀血・腎虚という証の軸で入口を見分けます。
月経前になると人が変わる、と本人も家族も言う。その「揺れ動き」は一様ではありません。気の滞りか、肝の高ぶりか、心脾の虚か、多彩な不定愁訴か、突き上げる情動か ― 証で五つに分かれます。
顔はほてってのぼせるのに、足は冷える。汗が噴き出し、眠れず、些細なことで涙が出る。相反する訴えが同居するのが更年期です。三大婦人科処方を軸に、証で使い分けます。
同じ「のぼせて汗が出る、眠れない」でも、証で選ぶ薬は変わります。更年期の訴えを、気の上衝と血虚・肝の高ぶりという座標で読み分けます。
採血も画像も異常なし。それでも「冷えてつらい」と戻ってくる。冷え症は、全身か末梢か冷えのぼせか、そして寒さの質で証が分かれます。
月経のたびに決まって襲う頭痛。「片頭痛」で一括りにせず、瘀血・水滞・気逆という座標で読み分けると、月経周期と証のつながりが見えてきます。
月経前になると体が重く、指輪がきつい。「むくみ」の訴えを、口渇・尿量・体格・のぼせという手がかりで水滞の証に振り分けます。
「漢方で妊娠しやすくなりますか」と聞かれたとき、何と答えるか。漢方は生殖補助医療の代わりではなく、冷えや月経周期の乱れという体調の土台を整える下支えです。過度な効能をうたわず、証で選ぶ回です。
妊娠初期の悪心・嘔吐に、漢方でそっと手を添えたい。ただし妊娠期は薬剤選択が最も慎重を要する時期です。軸となる方剤と、その前に必ず見る西洋医学的な線引きを整理します。
産後1か月健診で、疲れが抜けない、悪露が長引く、気力が湧かないと語る母親に、何を渡せるか。気血両虚と瘀血を土台に、授乳期の方剤の考え方と、見逃してはいけない産科・精神科の線を整理します。
「検査は異常なし」。それでも患者はつらい。一般内科の外来で女性の不定愁訴に出会ったとき、証は「異常なしの先」への入口になります。気滞・臓躁・肝の高ぶりを軸に、プライマリ・ケアの一手を整理します。